伊佐坂先生の別荘へ訪れた磯野家

小説家、伊佐坂難物が無人島に別荘を建てた!

伊佐坂夫妻は、建てた洋館に『難物館』という名前をつけ、穏やかに暮らしていた。

そして迎えた夏休み、しばらく館を離れることになった夫婦は、かねてから親しかった磯野家をそこへ招くことにした。

バカンスの間、彼らに自慢の別荘で過ごしてもらおうというのだ。

かくして、サザエさん一家は、島へ足を踏み入れるのだった―――……

『さあ太陽は登り始める、

まるで不幸などなかったみたいに。

不幸が襲ったのは私だけだ、

太陽は皆に輝いている』

深い青みを湛える海の上に、悠然とその島は存在していた。

波に揺られるボートの上で、まず一同は、ゴツゴツとした岩礁を、それから土とも磐ともない島の大地を見た。

そして、その上には苔みたいに点々と木々が生い茂っていて、見る者に自然の凄みにも似た畏敬を感じさせた。

「立派なもんですねぇ……!」

船尾に立ったマスオの感嘆に背中を押されて、カツオも舳先に身を乗り出してみる。

ボートは間近に迫った島の外周に沿うようにして進路を変え、カツオは岩礁の向こうの森のシンとした声を聴いた。海の障害物たる島に打ち寄せた波が白い泡になって、また新しい波に揉まれながら消えてゆく。

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